「あ!」
少年は急いでピントを合わせる。
「……すごい、きれいな星雲だ……」
少年の片目の視界を覆ったのは、美しい星雲だった。
「うわあ……、輝線星雲だろうか、反射の方だろうか。花火のようだ、散ってけぶった花火のようだ」
興奮した面持ちでさらに天体望遠鏡を覗き込む。
「この星雲は星が終わった姿なのだろうか……。それともこれから星になるのだろうか」
いずれにせよ、それは今の姿ではない、とうの昔の姿を、キータ少年は目の当たりにしていた。
「アクセルも見てごらんよ。とってもきれいだよ」
黒い犬はヒトのことばが理解できたかのように一声吠えて、望遠鏡の前に座った。
「ほら、見えるだろう。これは星雲と言って、宇宙に浮いている……ガスや塵のまとまりさ。このくらいだと……きっと五千光年は向こうだ」
五千光年経った今頃はどうしているのだろうか。
花火のように一瞬で美しく散る命だとしても、宇宙の命からして一瞬だとしても、命は連綿とつむがれている。
Ain Soph

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