ボクらの鎮魂譚 - 8/66

これまでの央一のパンチラゲリラ観測データによると、昼休みの運動場脇は食堂・購買部帰りの一年生の通行人が殆ど。
そしてその中を占める女子生徒の傾向は、ちょっときゃぴっとした感じの活発な女の子が多い。

それに比べこの渡り廊下は一年生も、二年も三年も、先生も通る。いろんな層の人間が渡って行く。

しかし時・場所・人から推察すると、解散を告げられた放課後に部活であろうが委員会であろうが屋内で活動している人間は皆、『やっぱりどっか大人しそう』という印象を受けた。そしてそこから導き出されるのは、

(どんな下着穿いてんのかなァ~。楽しみだなァ~)

違う種類のパンチラが楽しめる期待値が高い、ということだ。

ワクワク☆ドキドキ鑑賞ターイム! の始まり始まりである。

女の子は指定の同じ服を着せられてもオシャレを忘れない生き物だ。

それはどういったDNAから来ている運動なのか世の殿方は知る由もないが、それでもスカートを短くしたり、髪の毛を染めたり結ったり編んだり、とにかく試行錯誤して規則をかい潜って(もちろん完璧アウトもある)自分を着飾る。

その自己顕示のひとつとして、『スカートの中にあるパンツ』というジャンルがあると央一は考えている。

その時――、なんとなくぬるっと、嫌な空気を感じた。

背筋がぞわぞわっと逆撫でされる、鳥肌が勝手に立つような、この感じ――

(……何だ、コレ……?)

渡り廊下の女子生徒には、何とも変わりがない。それどころか、

「ゥああーッ、見逃しちまったァーッ!!」

ショック! あろうことか茶髪ロングの女子生徒は定点をとっくに歩き去ってしまっていた!

央一は自分の修業不足を呪った。

世界でたった一度! 一瞬の出会いを!

たかが自分の気のせいかもしれない悪寒なんかで取りこぼしてしまったことに木星よりデカい嫌悪を抱いた。ガッデム、屈辱である。

「は~……」

ところが。

日本海の厳しい波に向かって叫んでいる脳内フィクションと、決して動揺することのない屈強な精神を鍛えに荒行でも始めかねないほどの悔恨に溺れていた、矢先。

「あ」

信じられない、まるで回転ずし。注文通さずとも次の良いネタがやって来た。

(まだ見ぬ天の神様ありがとう! 天国行けたらあめちゃんあげるぜッ!)

スカートはほどよい規定値ギリギリ。これは素晴らしい采配だ。

(このチャンス、必ずいただくッッ!)

央一が力んだところで特に何かが起きるわけではないのだが、滾る男力を抑える術はこの世に存在しない。ついでにこんな単純なことで立ち直ってしまう思春期男子の精神力。ほかのことにこのエネルギーを変換できないものか。

同じく第一校舎から第二校舎へ渡る途中らしいこの新鮮なネタ系女子生徒は、長い黒髪が清楚感を醸し出している。果たしてどんな下着なのか。

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