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そして放課後なのだが、パンチラ鑑賞がもはや生き甲斐と言っていい央一は、これまた素晴らしいスポットを見つけるのであった。
「……見えるンじゃあないですかコレはァー、ヤダー」
両手でカメラのフォーカス装置を真似たものを作り、覗き込む。
ここは渡り廊下横。第一校舎と第二校舎をつなぐ渡り廊下だ。
しかしこの廊下、なんと外である。屋根は付いているがナンでか吹きさらしなのだ。利用者としては建設関係者に文句の一つも言いたいところではあるが、央一は『コレ、見える』と気付いてしまった。むしろ感謝状を書いてやってもいい。
二つの校舎はそれぞれ四階建で、渡り廊下は二階建。一階は外履きの者でも運動場へ出ていけるように壁は取っ払われているし、校舎間を上履きで行き来したい者は、飛び石のように舗装されたコンクリートの上をとんとん渡って行けばいいのだ。まるで交差点のような通路になっている。きっと非常口の用途も考慮されているのだろう。
で、二階はというと、ただの欄干で囲われているだけの「お勉強しました」感満載の造りになっている。耐久や安全面で心配にはなるが、そのスケスケ欄干の間から、一定の長さからのミニスカ娘はお気をつけあそばせ! となる。きっと。
というのはまだ央一の予測の範囲のお話なので、見えるのではなイカ、という単なる仮定だ。
そこで、
「フフフ~ン、統計のためのデータが必要ですなァ」
その仮定を確信に変えるべく、央一は定点観測を開始した。
放課後であっても、野郎も、淑女も、部活や委員会を理由に忙しく校内を走り回っている。
観察しているうちに、その現場の一つでもあるこの渡り廊下は予想より往来が多い、ということが分かった。
「ふんふん、……しかしまァ、ちょいと突っ立ってるだけってェのは……」
目立つ。
体格はよい央一。
猫背であることと彼の軟派な性格も手伝って、身長が高いだとか、足がデカイだとか肩幅が広いだとか、そういった印象を持たれることは少ない。
だが、このような場合景色に馴染むことが第一条件である。
そして現状、馴染めていない。
とは言え、これ以上この地点から離れてしまうと不自然な男子生徒ではなくなるかもしれないが、角度の都合上スカートの中が見えなくなる。央一の少々高めな身長があってこそかろうじて見える見えないの乙なシチュエーションが生まれるわけで、それこそ本末転倒。となると、断固としてここを動くわけにはいかない。
(どーうしましょーネ)
とりあえず手っ取り早く、『待ち合わせしてるんだけどアイツ遅いし、ケータイでもいじって暇潰して待ってるんだけど、てゆーか遅いしアイツ』フォーメーションを採用することにする。
まだあまり慣れていない校内を探検しよっかナ、程度の軽い気持ちで繰り出してきた央一は、実はもう帰る準備万端で自分の鞄を提げていた。そこから長年の相棒のガラパゴス携帯を取り出す。でも、おててはケータイ、おめめは二階のスケスケ渡り廊下、なのである。初心は貫徹する。

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