音々子の日に当たっていない白いうなじがすらっとのびている。
ジャックはおぼつかない動作で両手を添えた。
央一にはその手が温かいのか冷たいのか分からなかったが、振れた瞬間に音々子の背筋がびくりとはねたのが見えた。
(慎重に……)
音々子の首にかけられたジャックの両手は、ゆっくりと、次第に力が入っているようだ。
このまま放っておくと今までの学園の被害者と同じ道をたどることになる。
央一は極めて繊細な動きで、だが確実に、ジャックの背後から腕を回すようにして首飾りをその青白い手に触れさせた。
(何か、反応があるといいんだが)
ひくりと、手が硬直した。
そしてぶるんっと痙攣したかと思うと、
(あ、)
ジャックは首飾りを手に取ったのだった。
『鶴子さん、貴女にぜひこれをつけてもらいたいんだ』
『……これを私に?』
『つけてみてくれるかい』
『勿体無いわ』
『貴女につけてほしいんだ』
『これは……』
『いけないかい……?』
央一には聞こえた。
首飾りを手にしたジャックは人間的な動作で金具を外し、無いこうべを項垂れるようにして、自信なさげにこう話すのだった。
『私、あなたと』
『僕と』
『……ずっと、ずっと! 待っていたの!』
『鶴子さん……!』
『ずっとずっと、この海の向こうへ! 私をここからこの首飾りの青く輝く宝石のような山々の国へ!』
『来てくれるかい?』
『ああ! 勿論です、勿論です!』
ジャックはそこでようやく首飾りを鶴子の首へかけた。
しかし頭が無い故に視界が無い。
央一はおっとっと、と思い出したようにジャックの手にフォローを添えた。
なんとかおぼつかないながらも、ジャック(と央一)の手で鶴子に首飾りをつけさせることが出来た。
『重たいわ』
『僕の想いの証だよ』

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