ボクらの鎮魂譚 - 57/66

(なんだ? どこからだ?)

『ヒュゥー…ゥ、……グボッ、ヒュュー……ゥ』

風だけではない。なにか蛇口から水が溢れ出るような音もする。

(一体何だってんだ!? 今更だけど、やっぱしオカシクねエかッ!?)

央一は振り向けない肩で振り向いてはいけない気配を察知した。

『グッボ、ゴボッ……ヒューゥガボッゴボゴバ』

ずるう、ずるう……。

背後からぬるりと央一より上背のある何かが現れた。

それは黒、いや赤黒いスーツで歩いている。

(う、わっ!!!!)

央一は辛うじて横目に見た。央一の目線に相手の肩があるのに、首の上には頭が無い。
グボッゴボッ、と聞こえるのは首から溢れる血液。

ヒューゥという風の啼くような音は微妙に残った喉の気管らしい。

『ヒュー……ゥ、ゴボッ』

ずるうっと脚を引きずるようにして歩いている、彼こそが首無しジャック。

(出た……! っていうか近ェッ)

央一はそのおぞましい存在感に圧倒されそうになる。だが央一はポケットの中に入れておいた最期のカギを握りしめ、感覚の薄い廊下の感触を今一度確かめた。

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