第4章 ボクらの鎮魂譚
時刻は午後四時四十四分だった。
これは単なる偶然デショ、関係ナイナイ。
そんなことを思いながら央一は慎重に校内を歩いていた。
央一は音々子を尾行していた。
廊下の窓はもれなく夕陽を取り込んで、オレンジ色と木立の黒い影のコントラストを強く映している。
休校日の学園は部活動の生徒たちすらもう帰ったようで、まばらなはしゃぎ声だけが遠くから央一の耳に届いた。
(次は……階段を上るのネ)
音々子が廊下の向こうの曲がり角に姿を消したのを見て、央一は独り頷く。
音々子を泳がせておく。
そう、言わば生き餌。
釣るのはジャック。
静々と洋装のドレスを引きずりながら、音々子は階段を上る。央一はそれを見届けてからスパイヒーローのように身を隠しつつ追いかける。
音々子は足音すらドレスの裾の中にしまい、彼女自身が脚の無い幽霊になったかのようだった。
音々子に影はある。それだけ認めると央一はホッと息をした。

コメントを残す