ボクらの鎮魂譚 - 53/66

第4章 ボクらの鎮魂譚

時刻は午後四時四十四分だった。

これは単なる偶然デショ、関係ナイナイ。
そんなことを思いながら央一は慎重に校内を歩いていた。

央一は音々子を尾行していた。

廊下の窓はもれなく夕陽を取り込んで、オレンジ色と木立の黒い影のコントラストを強く映している。

休校日の学園は部活動の生徒たちすらもう帰ったようで、まばらなはしゃぎ声だけが遠くから央一の耳に届いた。

(次は……階段を上るのネ)

音々子が廊下の向こうの曲がり角に姿を消したのを見て、央一は独り頷く。

音々子を泳がせておく。

そう、言わば生き餌。

釣るのはジャック。

静々と洋装のドレスを引きずりながら、音々子は階段を上る。央一はそれを見届けてからスパイヒーローのように身を隠しつつ追いかける。

音々子は足音すらドレスの裾の中にしまい、彼女自身が脚の無い幽霊になったかのようだった。

音々子に影はある。それだけ認めると央一はホッと息をした。

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