ボクらの鎮魂譚 - 42/66

「どういうこと?」
「たとえば……」

手帳の文章をなでるようにすすっと指先を動かす。

「《白人》という読み、これがもしホントだとしたら?」
「……!」

そのことに音々子は目を見開いた。

「読み、じゃあないわ。《白人》のものだった。私の尺骨茎状突起経験値をなめないでちょうだい」
「ン? なんだって? まァいいや。そんなら話は早い。奴さんの生前の背景がしぼれる。そしてあの館、いつ頃のものなのか」
「見たところ木造だったと思うわ」
「ドアは?」
「ドア、は……」

音々子の探偵風ポーズ。

「たしか、木。ところどころ腐食していたわ。ドアは観音開きと言っていいのかしら、そういう作りだったわ」
「そして、窓にガラスはなく割れていた。……だあーいぶ前のものだったのは、わかるな?」

音々子が頷く。

「江戸時代は学校で習った通りだ。鎖国していたし、限られた国しか日本に入れなかった」

「そんな昔の物が残っているとは思わないわ。もしあれが江戸時代に作られたものだとしたら国の遺産だもの」
「ということは、明治以降、だな」
「学園が開かれた以前か以降かも知りたいところね」
「それを踏まえてもう一度本を漁ろうぜ!」
「そうね」

そこへ、コツコツと靴音が聞こえる。

「……」

三つ編み司書だ。

「生徒さン……」
「……え、司書さん。スミマセン、もうちィッと本探しててもイイですか? うるさくしないんで」

しかし司書は答えない。代わりにメガネを外した。

「あんたらっちゃ、幽霊が見えるガケ?」

見かけに寄らない、とてもネイティブな方言だった。

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