ボクらの鎮魂譚 - 2/66

―前章―

「春のうららの澄んだパンツ」

うん、風流だ。実に風流。と、自分の呟きに満足げに頷く、阿僧祇央一(あそうぎよういち)。高校一年生。今年の四月に入学してきたばかりにも関わらず、制服の着方は既に崩れている。

紙パック黒ゴマ牛乳をじゅじゅじゅこ~っと吸い上げ、

「っぐっふぉ、ぉ、ごほっごほっ……」

むせた。

央一は今、寝転がっている状態だからだ。そして何故央一が寝転がっているのかと言うと、

「うん、良いパン尻だ! 健康的な、……こほっ」

彼の趣味であるパンチラ鑑賞、フィールドワークの真最中だからだ。

ついでに言うと場所は運動場用具室。
運動場で使われる体育の授業のためのボールやら、ハンドボール用ゴールやら、タイマーやら、野球ベースやら、石灰の入った袋やら、大も小もごったごたにしまわれている小さな部屋だ。

そんな中、比較的きれいで砂の付いていない棒高跳び用マットの上に自分の腕を枕にして一人、ごろんと寝転がっちゃっているのだ。そうすることで半分地下のような場所にある運動場用具室の壁上方にある小窓から、外を通りすがる女子生徒のスカートの中を拝見することが出来る。

入学早々にこの穴場を嗅ぎ当て、ちゃっかり居座っている。

一般的にこういった場所は自由に入れないようになっているものなのだが、そこは田舎の学校。防犯意識が低いのか、それともいたずらするような生徒が今まで出て来なかったのか、どちらにしろ錠はされておらず、無防備なこの男の隠れ家に央一は昼休み毎お邪魔している。

ひっそりと静かなこの部屋の前をなーんにも知らないミニスカ女子生徒が楽しそうにお喋りしながら歩いて行く。

(楽しそうだねェ、ボクも楽しいよォ!)

これが央一の高校に入ってからの昼休み過ごし方である。

有り体に言ってしまえば、変態――ヘンタイ――である。

しかし央一は女の子のパンチラ鑑賞を生き甲斐にするという行為以外は何の変哲もない、極めてフツーな男子高校生であった。自分の癒しの為にちょっくらパンツを拝見させてもらうだけ。それ以外、それ以上の行為はいたさない。それが彼のポリシーでもあった。

「……オイオイオイオイオイ中に短パン穿いてくれるなよォ~……」

実に様々な女の子がいるものだ。年頃の女の子一人一人の趣味嗜好、関心、性格が一目で分かってしまう。それが恐ろしいパンチラ道の極意! というのが央一の持論。

つまり今しがた通り過ぎて行った短パンの彼女は、央一に言わせれば、「サムイから穿いてるだけだモン」とかカマトトぶっときながら実のところ女の子から女性に変化していく身体的成長に精神的なところがついていってはおらず、男子からの扱いも変わって来ていることを知りながら女性という自分の性を隠したがる『未成熟ゆえにひねている』、そういった心情が窺える短パン! スカートを短く折ったり切ったりする女子生徒が圧倒的多数な中で、長めの丈を保ち、尚且つ、短パンもしっかり装備しているあたりからこれは確実! といったところになる。

「素直に生きなきゃダメよォ、素直にサ」

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