■シェアハウス梁山泊・かぐやの部屋(夜)
私と雪矢はこのシェアハウスの持ち主であり、絶対ルールの大家、かぐやさんの部屋に来た。
神山かぐや「それで、お話ってなんですの?」
日比野八重「あの、雪矢がこのシェアハウスを出るっていうのを解消してください」
神山かぐや「それはどういう意味?」
巳雪矢「……」
巳雪矢は不安そうな視線を私に投げかけてきた。
日比野八重「私たち、仲直りしました! ほら!」
そう言って、私は巳雪矢の手をぎゅっと握って持ち上げた。
巳雪矢「は?」
日比野八重「それに、私たち」
日比野八重「想い合ってます!」
巳雪矢「はあっ?」
日比野八重「こんなに仲がいい恋人同士を引き裂くような人じゃあないですよね!? かぐやさん!!」
巳雪矢は真っ赤になってぷるぷると震えている。
神山かぐや「それは本当なの?」
日比野八重「ええ、本当です!」
すると、かぐやさんは噴き出した。
神山かぐや「おほほほほほ、ああ、おっかしい!」
日比野八重「! なにが……」
神山かぐや「いえいえ、八重さん、違うの。もう雪矢くんったら、男の子なんだから、自分から言いなさいよ!」
日比野八重「!」
巳雪矢は気まずそうに視線を泳がせて、相変わらず真っ赤だった。
巳雪矢「お前なあ……、なんの打ち合わせもなしに、それは……ないだろ」
日比野八重「はい?」
神山かぐや「まさか、恋人っていうのは違うの?」
日比野八重「……そ、それは」
巳雪矢「それは、……ただの俺の願望」
日比野八重「え?」
私の目が点になった。
日比野八重「か、かぐやさん、知ってたんですか?」
神山かぐや「ええ、八重さんが来る前から雪矢くん、ずっとあなたのファンでしたわよ」
日比野八重「嘘でしょう!?」
巳雪矢「それは本当」
もごもごと言いにくそうに巳雪矢は言った。
巳雪矢「まあ、でもそういうわけだから、大家さん。俺、やっぱりここ出ていかない」
巳雪矢「これからここの誰よりももっと強くなるし、料理番もちゃんとやる」
巳雪矢「だから、まだここに置いてくださいっ!」
神山かぐや「雪矢くん……」
かぐやさんは頭を下げる巳雪矢をうるんだ目で見ていた。
神山かぐや「そう、心は決まってらっしゃるのね」
巳雪矢「ああ」
日比野八重「雪矢……、男女平等ですから、私もひとついいですか?」
巳雪矢「あ?」
日比野八重「雪矢の喧嘩道、もっと見ていたい。私を、ずっとそばにいさせて下さい!」
巳雪矢「……夢?」
日比野八重「夢じゃあないです! 現実です!」
神山かぐや「ふふふ。それじゃあ、改めてよろしくお願いしますわね! 八重さん! 雪矢くん!」
二人「はい!」
波乱の幕開けとなったシェアハウス梁山泊での暮らしだったが、私は雪矢と強くなっていくために、これからもトレーニングを欠かさないこと。
それから、喧嘩は絶対にしないこと。
それと、……毎日二人で朝ジョギングデートをすることにした。
それはこれからもずっと、続いていくだろう。

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