「どんどんどんぐり、ぎんぎんぎんなん、
くるくるくりと、ぱっくりあけび、
あーかいあかいはななかまど」
でもおかしいのです。
歩けども歩けども、ならったナナカマドの木が見当たりません。
キコはたしかこのあたりだったと覚えていました。
でもあのあかい実が見えてきません。
もう誰かがキコより先にナナカマドをごっそり取って行ってしまったのでしょうか。
キコはもしかしたら記憶違いだったかもしれないと森の奥へとさらに入って行きました。
おつかいのものはあとナナカマドだけなのです。
すると木々の合間からちいさな小屋が煙突から煙を吹いてたっているのが見えてきました。
キコはまたおかしいな、と小首をかしげました。
こんなところに小屋なんか今まで無かったのです。見たことがありません。
でも小屋の前の庭はこぎれいに整えられて、あたかも昔からそこにあったかのようにどこもかしこも手入れが行き届いています。
「あ!」
そしてキコはその庭にスダジイもクリもギンナンもアケビもあることに気付きました。
その庭は小屋の裏の方へも続いています。もしかしたら、この家の庭にはキコの探しているナナカマドもあるかもしれません。
森に住むみんなのおきてをこの小屋に住む人が守っていれば庭に囲っている木の実も分けてもらえるでしょう。
キコはその小屋の戸を叩いてみることにしました。

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