掌編

キコのおつかい

この頃になると、さあ忙しくなります。 小さな小さな手と手にかごを抱えて、キコはお母さんのおつかいに行くことになりました。 お母さんに頼まれたのはスダジイとクリ、ギンナン、アケビそれにナナカマド。かごいっぱいに取って来るように言いつけられたのでした。 キコは最近めっきりつめたくなった風にかむりのずきんを取られそうになりながら、森の中を歩いていきます。 木の実がある場所は春にも夏にもつれてこられたことがあるので小さなキコでもへっちゃらです。 キコは春や夏に見た、元気な虫たちにかこまれて咲いていた可憐な花々や、慈雨に打たれて鮮やかにぬれた顔ほども大きな葉っぱを思い出して楽しみになるのでした。足どりは自然ととんとんと跳ねるように落ち葉を進んで行きました。 「どんどんどんぐり、ぎんぎんぎんなん、 くるくるくりと、ぱっくりあけび、 あーかいあかいはななかまど」 キコは歌をうたいながら森を進んで行きます。

花火星雲

蒸し暑い海は、よく潮の香りがする。地平線は真っ赤に染まって、サンセットは空をパレットのように色彩をまぜこぜにした。「こら、アクセル! はしゃぎすぎだって」ひとりの少年が砂浜に天体望遠鏡を組み立ててた。その周りを黒い大きな犬が駆け回っている。…