シェアハウス梁山泊へようこそ - 1/9

第1話

■シェアハウス梁山泊・門前(昼)

日比野八重「ここが……シェアハウス梁山泊!」

ついに来た。
梁山泊――かつて中国は山東省に実在した、賢者たちが集い、切磋琢磨した宿。
それがしかも武道の達人が集う場所として今目の前にある。
家賃五万円!
三食のごはんあり!
風呂トイレは共同!
そしてなにより魅力的なのは……

日比野八重「よぉーっし、今日から鍛えまくるぞー!!」

手合わせを願えるライバルがいつでも一緒にいるということ!
好きな言葉は、『男女平等』『精神一到』『勇往邁進』そして『正義』と『愛』。
『愛』なき拳は振るってはならず、『正義』なき世は鉄拳制裁する。私の美学だ。
私は今日からシェアハウス梁山泊の一員として、……かつ社会人として、精進するのだ。
背中に腰に肩に両手に担いだ荷物を持ってその戸をたたいた。

日比野八重「押忍! ごめんください!」

ぱっと見は南欧風のおしゃれな外観が印象的なこの建物。でも門は純和風で瓦が乗ってる。そして木製の看板。もちろん『シェアハウス梁山泊』の文字。
見上げて生唾を飲んでいると、声が掛かった。

???「はあーい、ただ今!」

門が開いた。

日比野八重「えっ!?」
???「あら、どうかしました?」

門から出てきたのは高校生くらいの体躯の、長い鼻の天狗のお面をつけた女の子だった。
私はあんぐり口を開けてしまう。

神山かぐや「あ、わたくし、こちらのシェアハウスの大家をやっておりまして。名前を神山かぐやと申します。ふふっ、ご存じだったかしら?」
日比野八重「……はっはい! お名前は存じ上げております。これからお世話になります!」
神山かぐや「そんなにかしこまらないでちょうだい。これからよろしくね、八重さん」
日比野八重「よろしくお願いします!」
神山かぐや「元気のいいこと! さあ、こちらへお入りになって」
日比野八重「はい!」
日比野八重(ちょっと驚いたけど、いい人そうな大家さんでよかった)

私は憧れの門をくぐった。が、さらに驚きの光景を目の当たりにすることになる。

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